『ハエ男の恐怖』(はえおとこのきょうふ、原題: The Fly)は、1958年にアメリカ合衆国の20世紀フォックスが公開したSF映画。ジョルジュ・ランジュランの小説『蝿』を映画化した作品。
カナダ人物理化学者のアンドレが上半身を潰された死体で発見される。容疑者は現場から逃げてゆくのを目撃されたアンドレの妻ヘレンだった。ヘレンは義兄のフランソワとその友人のチャラス警部に信じられない話を語り出す。
物理化学者のアンドレは物体を瞬時に別の場所に移動させる物質電送機の研究開発に没頭していた。試行錯誤の末、彼はカップや冷やしたシャンパン等を用い電送実験を成功させる。そしてついには自身の体を使って電送の人体実験を行った。しかし、機械の中にハエが紛れ込んでいたため、電送の最中に両者が交じり合い、アンドレは頭と片腕がハエで頭と足の一本(片腕)が人間の体になってしまう。アンドレとヘレンは、頭が人間のハエを捕まえて再度物質電送機にかけて元に戻そうと計画する。だが頭が人間のハエはなかなか見つからない。そのうちにアンドレは、自分の人間の意識がハエの意識になってくることに危機感を抱きはじめた。彼はその研究をすべて破棄した。自身もまた痕跡の残らないよう、ヘレンに懇願し上半身を圧搾機で潰させ死を選んだというのだ。
ヘレンの意外な話をフランソワと警部は信じられないでいたが、庭でショッキングな証拠を目にする。頭が人間のハエがクモの巣にかかり、助けを請う姿を目撃してしまうのだ。捕食される寸前のところで警部は石を落し、そのハエを殺してしまう。フランソワは「頭がハエの人間を殺すことも、頭が人間のハエを殺すことも同じことで、あなたも人殺しだ」と警部に問う。